ゲル・アンヘル・モヤが数年前にサッカー選手としてのキャリアに終止符を打ったとき、彼はスペインのトップリーグ「プリメーラ・リーガ」で過去10年間を代表するゴールキーパーの一人として成功を収めていました。
しかし、自ら選んだ道でほぼすべてを達成したかに見えたにもかかわらず、モヤは新たな挑戦にも意欲を燃やしていました。それが「パデル」であり、限界を認めながらも、全く新しいスポーツの世界でどこまで行けるのかを試してみたいと考えていたのです。
「一度プロのアスリートになったら、どんなスポーツでも一生自分の一部として残るものです」と、現在39歳でレアル・ソシエダ、アトレティコ・マドリード、ヘタフェなどプリメーラ・リーガの複数クラブで活躍したモヤは語ります。
「でも、サッカー選手を引退したら、次は別のスポーツに力を入れようとずっと決めていました。ラケットスポーツなら、私の中ではパデルが一番、次にテニス、そしてビーチバレーボールですね。」
何十年にもわたりサッカーに打ち込んできたモヤは、現在、バボラのパデルアンバサダーとして新たな挑戦を大いに楽しんでいます。そして、まだ比較的新しいこのフィールドで、彼はサッカーとパデルの間にいくつかの重要な共通点と違いを見出しました。
「ゴールキーパーと同じように、パデルも比較的狭いスペースの中でプレーするスポーツです。壁の使い方が非常に重要で、素早い反射神経と瞬時の判断が求められます」と彼は指摘します。
一方で、「ゴールキーパーの場合、試合中に次のプレーに関わるまで5分近く間が空くこともありますが、パデルではごく短い時間の中でリズムを保たなければなりません。たとえばディフェンスのスマッシュでガラス壁に当ててしまうミスをしたとしても、すぐに気持ちを切り替え、プレーに戻る力が必要なんです」とも語りました。
モヤはこれまでも、ピッチ内外で常に高い目標を掲げることを恐れたことはありません。たとえば、バスク州のサン・セバスティアンでゴールキーパーを務めていた時、世界でも最も習得が難しい言語のひとつであるバスク語を身に付けました。
しかし一方で、モヤはパデルにおいて、たとえばテレビ解説者のような分野は自身には難しい領域があることも冷静に理解しています。サッカーでは現在も解説者を務める彼ですが、「パデルの試合中に解説者の話を聞いていると、彼らが指摘して初めて気づくことも多いんです。たとえば、ある選手が相手を孤立させたとか、ロブが浅くなったとか、そういった基本的なことは自分でもわかります。でも、より繊細で技術的なポイントを、パデル専門の解説者のようなスピードで見抜くのは、今の自分には難しいですね」と語っています。
とはいえ、モヤのサッカー選手としての過去は、別の形でもパデルに影響を及ぼしています。たとえば、対戦相手が彼が元プロサッカー選手だったことを知ったときなどです。
「相手が元プロ選手に勝つチャンスがあるとわかったら、たとえ自分が本来プレーしていたスポーツとは全然違う競技でも、その機会を逃したくないって思うんですよね」と、彼は笑いながら語ります。
しかし、勝ち負けに関係なく、モヤがパデルを特に気に入っているのは、試合後に相手と交流できる機会があることです。かつてプロサッカー選手として、毎日厳しいトレーニングと最高レベルのパフォーマンスを求められていた彼や元チームメートたちには、夢にも見られなかった楽しみでした。
「でも、パデルなら試合後にビールを2杯飲んだり、アペリティーボを楽しんだりする時間がちゃんとあるんです。いわば『第3のハーフ』とも言えるこの交流の時間こそ、パデルの最高の魅力かもしれませんね。」とモヤは言います。
※バボラ契約選手はカスタマイズされたラケットや写真とは異なるモデルを使用している場合があります。