「自分のため、自分の夢のために闘うことは本当に価値があるということを示したい」 - アネタ・ニクラス

世界ランキングに騙されてはならない。アネタ・ニクラスのランキングは、BWFツアーで一度優勝した結果の反映にすぎない。アネタはもっと広い世界で多くの勝利を手にしている。それに、間違いなく、ポーランドでもっとも感動を与えるプレーヤーだ。

アネタは、バドミントンスクールとバドミントンリーグの創設者であり、女性のための自助グループの主催者である。そればかりでなく、アントレプレナー、ソーシャルリーダー、カリスマ的なセラピストでもある。このように幅広い活躍をしているアネタは弱冠22歳だ。

アネタはプロのバドミン選手としてキャリアを積むことを考えていた。しかし、人生の入り組んだ道を歩んでいくうちに、いつしか新しい旅に変わっていた。それは本質に着目したセルフヒーリングの旅だった。アネタたちが始めた活動は、彼女自身だけでなく多くの人に影響を与えることになった。

その1つ目の例は、アネタが個人的な苦境を解決しようと始めたことから生まれた「SmashBad」というバドミントンスクールだ。「ナショナルチームの選考会に誘われたのですが、挑戦するのが怖くなり、お断りしました」と打ち明けた。選考会に出ないことになったアネタは、資金を得られなくなった。

そのため、アネタと未来の夫は、資金を得る方法を色々と探し、週に3時間バドミントンを教えて収入を得られるのではないかと考えた。「知り合いが沢山いたのですが、私は色々な人にとても気に入られていました」と、そのことに今でも驚いているように話した。「何か特別なことを生み出すために、他の人のために働きました。」

これがきっかけで、バドミントンリーグが生まれた。試合をしたくて集まった女性だけの小さなグループが大きく成長する。始めは4人だったのが、すぐに8人になり、やがてもっと多くの人が参加するようになった。

男性は競いたがるが、女性はサポートが必要

 

アネタが始めた活動から、「女性のための女性」というムーブメントが生まれた。それには、ポーランドで目に見えて存在するジェンダーに基づく対立という大きな背景がある。「男性と女性を分けたほうがずっといいと思いました。男性は競いたがり、単にプレーする以上のことを求めると感じていました。」

「女性は精神面のサポートを必要とします。そのため、モチベーションに関するセッションを行いました。特に、ダイエットを助ける活動に積極的に取り組みました。」

その活動には、アネタが好きな料理やヨガ、ダンスといったアクティビティが含まれていた。「自分や夢のために闘うことはとても価値があるということを示したいです」とアネタは話す。

バボラのエリートバドミントンプレーヤーの1人であるアネタは、アスリートとして練習をしていることを思い出させる活動も沢山行ってきた。「私の長年の夢は、ポーランドのトロフィーを掲げることです。その夢をまだ諦めていません。」

彼女はこれほど多くのことをどのようにこなしているのだろうか。「私は確かに変わってます」と自虐的に答えた。「新しいアイデアが浮かんだら、挑戦してみます。人生は一度きりなので、失敗を恐れずに自分の能力を発揮するのは価値あることだと思います。」

不満を言うのをやめると、新しいポジティブなエネルギーが湧く

 

アネタがこのような大胆な考え方をするようになったのは、大学に入る前からだった。オポーレ大学では幼児教育を専攻して、学術的な面から研究をしている。小さい頃、アネタは食べることが大好きだったが、あまり活発ではなかった。そのため太っていて、ダイエットに苦労していた。「私の母が先生に「アネタができるスポーツを何か探して欲しい」と頼みました。」

ちょうど9歳のときに、アネタは1週間に2回バドミントンを始めた。半年後には、週4回バドミントンをするようになっていた。バドミントンにのめり込むほど体重が落ち、健康的な体になり、肥満度指数はすぐに戻った。

「状況に不満を持つのをやめて受け入れた途端、ポジティブなエネルギーと新しいアイデアが湧いてきました。人は自分が思ったり、考えたりしていることに引きつけられます。自分が望んでいることや必要としていることは潜在意識にも影響します。そのため、おそらく無意識に、望んでいるものを得ようとし始めます。」

「このことを知れば、多くの人は、徐々に、体と心をもっとコントロールできるようになります。心と身体を鍛えることで、能力が高まり、自立できるようになります。」

こうした事実に気づくことで、アネタはストレスの多い状況に対処する方法を編み出した。その方法は、新型コロナウィルスのパンデミックによるロックダウンでも効果がある。今年初めに、アネタ自身コロナにかかり、回復した。

アネタは、危機的状況が自分を成長させ、自分自身と向き合い、心の安らぎを得る機会になることをすでに知っていた。 嵐が過ぎれば、太陽が輝く。「私たちの幸せのために闘いましょう。状況は良くなります。くじけずにいましょう。」

アネタ・ニクラスのこの励ましの言葉は、この大変な時代に、おそらく世界中の今を生きるすべての人にとって自分を奮い立たせる言葉になる。