「バドミントンは楽しいだけでなく、コミュニティを生み出す力がある」-アヴギ・ニコラオウ

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公開日 1923年06月05日

アヴギ・ニコラオウは、中つ国と呼ばれる地域からイギリスにやってきた、受賞歴のあるコーチだ。アヴギほど頻繁に世界を飛び回るコーチはどこにもいないだろう。

謎に包まれたアヴギのバドミントン人生は、バドミントンができる環境を整え、教えることで、女性たちの人生に変化をもたらし始めた頃に始まった。そもそも、アヴギはバドミントンコーチなら誰もが持っているバックグラウンドを持っていなかった。

今は違うが、アヴギはバドミントンをしたこともなければ、教えたこともなかった。英語は母国語ではなかったし、バース市に行ったこともなかった。

けれども、アヴギには隠れた才能があった。様々な伝説を生み出したアヴギの故郷キプロスに、ホビットはもちろんいない。しかし、アヴギには、鋭い視力と聴力を持っていたホビットを彷彿とさせる、聞き上手で観察力に優れているという2つの才能があった。古代ローマの面影を残す、ジョージア様式が美しい伝統的な街バースという新しい場所でも、その才能を活かして多文化に適応することができた。

大好きなスポーツとの別れ


アヴギの故郷キプロス島は地中海にある。地中海沿岸には22の国があるため、アヴギは色々な言語で考えることができた。あるとき、アヴギは、バースにある大学で職を得たパートナーとイギリスに移住することになった。それまでの生活を手放さなければならず、多くの犠牲を払う必要があった。

アヴギは大好きだった10ピンボウリングを諦めなければならなかった。国際試合に出場し、何度も表彰台に立ったことがあるほどの腕前だった。思い出深い優勝トロフィーやメダルも、ニコシアの子どもたちに贈られる教育賞の表彰品に再利用してもらうために一部手放した。 新天地で社交的な活動ができる唯一の場所は、地元のレクリエーションセンターだった。そこでアヴギは新しいスポーツ、バドミントンと出会う。けれども、バドミントンは簡単なスポーツではなかった。

一見、優雅なスポーツに見えるが、プレーをすると難しいバドミントン。トーナメントで優勝することはできなかったものの、バドミントンは他の人も幸せにするという収穫を得たアヴギは、バドミントンを通して人と人との繋がりや絆を作り出し、人々の生活を豊かにした。自然とそうしたきっかけを生み出したのはアヴギの性格によるところが大きい。アヴギは情熱的で、人を元気づけたり、新しい人を歓迎したりするのがとても上手だった。元々負けず嫌いなところもあったため、男社会のバドミントンクラブに臆することなく飛び込んだが、それには別の目的もあった。

「女性のバドミントンクラブを作りたかった」とアヴギは強調する。「友好的で支えになってくれる環境で女性がプレーできるようにしたいと思いました。」

「女性が家庭だけでなく自分の時間も持ち、スポーツを好きになってもらえるようにしたいです。クラブを作ったのは、女性たちが自信を持ってバドミントンクラブに入れる機会を提供したかったからです。バドミントンを通して、競争心が芽生える女性もいるかもしれないと。」 そのような願いから誕生した女性のバドミントンクラブは、幸先の良いスタートを切った。イングランドバドミントン協会が経済的な支援を申し出てくれた。12週間以内に12人の女性が入会することという条件だったが、1ヶ月もかからずに42人の女性が入会した。

「女性の誰もが競争力を求めているとは限らない」

アヴギは、友情を第一に、音楽や会話を楽しみながらプレーができるクラブを作った。どのような人も受け入れ、多様性も大切にした。やがて、政府機関から、経済的な支援だけでなく、ボランティア活動を評価する賞も贈られた。 アヴギにとって、放物線を描いたり、回転したり、ロケットのような凄まじい速さで飛んできたりするバドミントンのシャトルをコントロールする方法を学ぶのは、想像していた以上に難しかった。しかし、色々なクラブでプレーをしたり教えたりするうちに上達した。

「しばらくすると、バドミントを好きになっていることに気づきました」と自分でも少し驚いた様子で言い、言葉を続けた。「技術面を向上させる必要がありました。3年経った頃にコーチが「コツを掴んだね!」と言ってくれました。」

「そのときに、もっとバドミントンに打ち込んでみたいと言うと「挑戦したら」と背中を押してくれました。」それ以降、アヴギはさらに熱心に練習した。成長するにつれ、発見があった。「私達女性は、ある意味とても繊細でデリケートです。」

「女性を勇気づけ、理解してくれる特別な存在が必要です。女性の誰もが競争力を求めているとは限りません。女性たちは外に出て、誰かと仲良く過ごしたり運動をしたりしてから家に帰りたいのです。」

「別の楽しみ方でスポーツをする女性もいます。コミュニティクラブ/レクリエーションクラブとして、参加できない女性たちに「来てみたらわかるよ」というメッセージを送っています。まずはバドミントンの楽しさを、それからバドミントンにはコミュニティを生み出す力があることを知ってもらいます。私たちのクラブは、競争力の高いクラブではありません。私のバドミントンの旅はこのように始まりました。」

バボラが、バドミントンコーチとして、人道家としてアヴギ・ニコラオウに興味を持ったのは当然だ。アヴギが、どのようなときも、どのような文化でも、人生というゲームでも必要とされる女性であるのは、こうした彼女のビジョンと人間性の所以である。

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