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世界王者フェルナンド・ポッジ
パデル界を超えて広げたテレビとSNSの新境地

読了時間:3分
公開日 2021年02月10日

「ほら、言っただろう!」――フェルナンド・ポッジは試合の終わりにライバルへそう告げるかもしれません。ツアーで「ビースト(野獣)」と呼ばれる彼は、身長1.95メートル、体重95キロの堂々たる体格を武器に、長年パデル界を沸かせてきました。その代名詞ともいえる空中スマッシュは、およそ5メートルの高さからボールを叩き込むもので、返球することがほぼ不可能とされるほどの迫力を誇っていました。

Fernando Poggi 1

複数競技経験が生んだ強み

アルゼンチン出身のフェルナンド・ポッジはテニスからキャリアをスタートしましたが、バレーボールも多く経験し、その後パデルの世界チャンピオンとなりました。

現在、ポッジは少しずつパデルに別れを告げています。今もプレーは続けていますが、別の役割で目にすることが増えています。選手時代に見せた情熱をそのままに、今はソーシャルネットワークで新たな挑戦を続けています。

「僕はテクノロジーが好きなんです」とポッジは語ります。「20年前にはインターネット企業を経営していましたし、ソーシャルネットワーク上では、スペインの番組『En acción』(テレマドリード)でパデルのテレビレッスンを初めて行った人物として知られています。レッスンやインタビューを行い、今もYouTubeには30本以上の番組が残っています。まるで“オンライン教師”のように、人々はその姿で僕を知っていました。再生回数が100万回を超える動画もあります。」

ポッジの声からは熱意が伝わってきます。彼は再び、テレビやソーシャルネットワークにおけるパデルの権威としての地位を取り戻したいと考えています。
「僕は大会にGoProを持ち込んだ最初の一人でもありました。『El mundo de Fer Poggi(フェル・ポッジの世界)』というシリーズをつくり、練習や日常生活の舞台裏を5~10分のエピソードで記録してきました。」

多くのアルゼンチン人と同じように、ポッジもテニス経験を経てパデルに出会いました。優れた選手ではありましたが、プロになることは望みませんでした。海外を転戦する必要があり、母親も勉強を優先するよう望んだからです。そのため彼は学業に専念し、アルゼンチンにとどまりました。

しかし、その選択が結果的にパデルでの成長を後押ししました。

テニスからパデル世界王者へ

やがて自分の実力を試すために、ポッジはアルゼンチンを離れる決断をしました。2000年、グスタボ・プラットと組んでヨーロッパのプロツアーに参戦しますが、夏の終わりにはペアを解消しました。結果的にそれは彼にとって最良の出来事でした。そこでクリスティアン・グティエレスと出会い、一瞬で意気投合。すぐに結果を出し、その年には当時世界ランキング1位だったエルナン “ベベ” オーグストとフアン・マルティン・ディアスを破る快挙を達成したのです。

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2001年2月、フェルナンド・ポッジはマドリードに拠点を移しました。
「友人と一緒にインターネット会社を立ち上げました。当時は若くて起業意欲にあふれていて、スペインではちょうどその分野が伸び始めていると感じたのです。そこでマドリードに会社を設立し、移住しました。2005年に持ち株を売却しましたが、良い時期でした。2人で始めた会社が16人規模にまで成長し、さまざまな挑戦的な仕事に取り組むことができました。私は常にビジネスの側面が好きで、人との関わりを大切にしてきました。」

同じ頃、ポッジのパデルでのキャリアも大きく発展していきました。「2005年からはパデルに全力を注ぎました。大会数が増えたからです。トップ8に入ることができ、その後10年間トップ10を維持しました。なかでも最高のシーズンは2012年です。クリスティアン・グティエレスと組んで、バルセロナで世界チャンピオンになることができました。忘れられない1週間でした。」

現役生活の終わりに向けて

 

フェルナンド・ポッジはいまも大会に出場し、世界ランキング100位以内にいますが、自身のキャリアが終盤に近づいていることを自覚しています。「2019年にバボラと契約し、ブランドアンバサダーとして国際的な展開をサポートする活動を始めました。バボラはまるで家族のように温かい素晴らしい会社で、とても満足しています。用具や製品についても多くのアドバイスをしており、できる限り最高のものに仕上げたいと考えています。」

現在は「M3」という競技アカデミーを運営しています。「アカデミーを通じて、子どもたちにアドバイスする機会が増えました。できる限り彼らを支えたいと思っています。パデルはパワー、スピード、フィジカル面で大きく進化しました。今の世界ランキング1位ペアで、私たちのアカデミーでも練習しているアレ・ガランとフアン・レブロンのプレーは本当に素晴らしいと思います。」

そしてパデルの外にも、新しい情熱を見つけています。――それはクロスフィットです。ライバルたちが疑う余地もないように、彼の中には今も“ビースト”が健在です。